このクリニックの理想とするものをひとことで言うと何ですか？と質問を受けたことがあります。こんなクリニックを作ろうとずっと思っていたので即座に答えることが出来ました。　

　　当院にかかっている患者さんを

「これからもいつまでも、ずっと長く診てあげたい」と思っています。

　　　　　　　　　　　　　　　　と答えました。意外にも、かなり驚かれました。

それが理想であり、目標でもあります。その患者さんに興味があるのであって、その病気そのものに興味がある訳ではありません。なぜこの病気はこの人に降りかかったのだろうかと。もちろん病気なのでなる理由は普通は見つからないのですが。その病気に興味がないと言っても、正しく診断して治療しなくてはならないので懸命に勉強していますので御安心を。病気が中心なのではなく、その人が中心と考えているので、脳外科の病気でも脳卒中でも、心臓弁膜症でも胃腸の病気でも肝臓の病気やすい臓・胆のうの病気でも、そして血液を始めとしてどこのがんであっても診察し診断するわけです。だから膠原病であっても関節リウマチであっても、認知症でもパーキンソン病でも糖尿病でも自分で診断しています。専門家でないと許されていない治療というものがこの世にはありますので、それだけを専門医に任せております。わたしが専門医ではなく、総合診療医であるというのは、この視点からのものであることがこれでお分かりでしょうか。

あなたの病状や症状に合った治療法を行ないます。御希望の薬の名前をおっしゃられても、それがあなたの今の状態に良くないとわたしが考える場合は処方することはしません。薬物療法が適切でない場合は薬を出すことはしません。将来、あなたの健康に悪影響を与えることが予想される場合は、その治療法は取りません。その薬も続けて出すことはありません。

　便利で、薬の名前を言ったら何でも出てくる、そんなコンビニのようなクリニックではありません。

　診断はついても薬の副作用が強いために、日常生活に支障がある程度まで症状が強くなるまで出来るだけ薬を飲まないようにしたほうが良い病気がたくさんあるのを御存知ですか？難病に多いのですが、不必要に早く飲み始めると治らないだけでなく副作用で苦しむ期間をずっと過ごさなくてはならなくなります。医師のほうも、それを知っていて内服させているのか疑問に思うこともあります。特に難病にたいしては’クスリを出す先生が良い先生’ではないのです。御家族の方は特に御用心ください。病気には何でも’クスリ’を飲まなくちゃ！ではないのです。薬を飲まないで様子を見ましょうと言ったからといってクスリを出してくれる専門医を探してあわてて連れて行ってしまう御家族もおられるようですが御本人のためになっているでしょうか？完治しないと既にわかっている病気にかかったときこそあわてずに慎重に考えてください。

正しく診断がついてこそ、正しく治療ができる。これが医学の基本です。つまり、診断がついていないのに治療をすることはしないという意味です。診断がはっきりしない限り治療をしないという意味ではなく、経験的に正しいとされている通常の保険医療のレベルで治療を行なっていくという意味です。どうぞ御理解ください。正しく診断が出来るようになるまでに、半年や1年、それどころか１０年かかる病気も世の中にはたくさんあるのです。あっちの病院に行っても診断がはっきりしないからとこっちの病院に行き、（その場で直ぐに！）わからない（みたいだ）からとそっちへ行く、そういった医者探しの放浪の旅に出ないようにくれぐれもお気をつけください。難しい病気ほど直ぐに診断がつくことが少ないのでは？と医者人生を振り返ってみると思っています。医師がよく使う’様子を見てください’という言葉のなかには、×○という病気のうたがいはあるが、今はまだデータが診断基準を満たすまではにはなっていないという意味が含まれています。全然何の病気かわからないと言っている訳ではないのです。なので放浪して歩くのは止めましょう。ほとんどの方がその忍耐を欠いた行為のために損をしているように見えます。そんな御家族を見ていると周囲になぜか診断を急かす人がいることがほとんどですが雑音に惑わされないようにしましょう。拙速に結果を求めると損をすることのほうが医者通いでは多いです。そして結果的に一番大きな損をしているのは御本人です。後で後悔してもまた一度（見限った？）不義理をした医者のもとに戻るのは気が進みませんよね。病気の診断には根気も必要なのだと心得てください。

　わたしは東京世田谷区の静かな、そして自然のいっぱいある街で生まれて育ちました。物心付く前に家の前にあった「つくし音楽園」で歌を習わせてもらったおかげで音楽には慣れ親しんで育ちました。

　そんな音楽好きな父母の影響で、プロの音楽家を目指した少年時代でした。才能に恵まれず、プロにはなりませんでしたが、いつも心の中に音楽が鳴り響いて励ましてくれ、どんな苦難も乗り越えることが出来たと思います。

　わたしは音楽ではありませんが、この世でやるべき事を見つけ、人生に存在の意義を見つけることが出来ました。

　わたしに音楽という人生の希望の道しるべを与えてくれた父母にこころより感謝します。