と言ってクリニックにやってきてください。

　う～ん、そうか。と言って医者は自分の診立てを見直すわけです。言うなれば、それが医者の唯一の成長の機会なのです。

　すべての医者が皆そうだとは言いませんので念のため。怒り出す先生もいるかもしれません。

　少なくとも私のクリニックにかかった皆様は、処方した薬が効かなかったとしても、ドクターショッピングで無限の放浪の旅に出たりはしません。また出ないでください。また逆に、そんな事（薬が効かなかったと面と向かって私に言うこと）をしたら医者である私は気分を悪くするに違いないと変に気を遣うことはしないでください。もっとかかりつけ医としての私にこだわってください。そう言われたら汗かきながら、対策を考え直します。治るまで、あるいは原因が究明できるまでお付き合いします。そこで力が出る。今までなかった智恵が出る。あなたに応えられる医者に一歩近づく、と言ってもいいのかもしれません。

　だからと言って最初に出す私の薬がいつもいつも効かないわけではないので（笑）御心配ご無用です（御安心ください）。

　町医者を成長させる最も最強の方法は、患者さんが鍛え上げることです。自分が何十年も世話になろうと思うのなら、当然ではないでしょうか。かなり微妙な話しですけどね。

   もうひとつ違う観点からの利点としては、きちんと紹介状を書けることです。わたしのところへ来たときに、どういう状態であったのか？専門医に、あるいは専門医療機関に状況や検査所見、それに本人に託し難い情報を記載して次の専門医にポイント攻撃して欲しい旨を詳しく記載することができます。だからかかりつけ医は振り分け医でもある訳です。だから、最初から専門医を受診しないで、私のところに来て欲しいのです。私のところで完結することも多いわけです。専門医の診察が必要なら紹介状を書いて持って行ったほうが5千円の特定機能病院初診料がかかりません。わたしの紹介状を持った患者さんを受け取った病院は少なくとも、初診の問診から、基本検査からを始めからやり直す必要はない訳で迅速にバトンタッチできます。それなのに見当違いの専門医に行ってしまうと、専門医は基本的に自分の専門領域以外には責任を持ちにくいスタンスですので、当てもなく、専門医を渡り歩くことになります。それは国の方針にも反します。これまで信頼のおけるかかりつけ医を持っていなかったからそうなるのかもしれません。でもそれはあなたの、あなたの家族の利益にはなりません。

　   あなたの請託に応える努力をしない町医者に、かかる必要はありません。医者は皆違う。自動販売機と異なり、百円を入れてボタンを押しても、出てくるものはいつも一緒ではないのです。自分の欲しかったぴったりボトルを差し出してくれるドクターを探し、掛かり付け医として育てましょう。必要があれば専門医に紹介してもらいましょう。自分の健康のベースキャンプを持ちましょう。最初から専門医放浪をしてもそれは時間の無駄になりかねません。現代では、そのコントロールタワーとしていつも相談窓口になるお医者さんのことを、かかりつけ医というのです。病院は大きさによって役割が違う時代となっています。お医者さんの掛かり方のお話しでした。